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2025/5/29

平屋は耐震性が高い?平屋が地震に強い構造上の理由、家族の安全を守る注文住宅づくりのポイントを解説

「平屋は地震に強い」と聞くけれど、本当なのでしょうか?家族と長く安心して暮らせるマイホームを建てるなら、住まいの耐震性は非常に気になるポイントの一つです。

この記事では、平屋がなぜ地震に強いのか、その構造的な理由をはじめ、耐震性の基本的な知識、さらに耐震性を高める家づくりのポイントまで、平屋の耐震性について幅広く解説します。耐震性以外にも平屋ならではの魅力をご紹介しますので、これから注文住宅の新築をお考えの方は、ぜひ家づくりの参考にしてください。

なぜ平屋は地震に強い?構造的な理由を具体的に解説

「平屋は地震に強い」といわれるのには、4つの構造的な理由があります。それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

【理由1】建物全体の重量が軽く地震の影響を受けにくいから

地震が発生した際、建物にはその重さに比例して「慣性力」という力が働きます。簡単にいうと、重い建物ほど地震の揺れによって大きく振り回され、強い力を受けるのです。反対に建物重量が軽いほど、地震発生時に建物が受ける慣性力は小さくなります。

平屋は、2階建てや3階建てと比べて構造がシンプルです。上階がないため、柱や梁、壁といった建物を構成する部材の総量が少なくなり、建物全体の重量を軽くできます。その結果、地震発生時に受ける慣性力が小さくなるので、建物の損傷リスクを抑えられます。

【理由2】建物の高さが低く重心が安定しやすいから

建物の安定性を考えるにあたっては「重心」も重要な要素です。同じ重さでも、背が高い建物ほど、地震の揺れに対して不安定になりやすい傾向にあります。

平屋は、2階建て以上の建物に比べて高さを抑えられるため、重心も低くなります。その結果、地震の揺れに対しても安定するのです。これは、背の低いグラスのほうが、背の高いグラスよりも倒れにくいというのと同じことです。

先ほど紹介した慣性力は、重心にかかるという特徴があります。重心が低い平屋では、安定感のある建物の低いところに慣性力が作用するため、建物が揺れによって倒壊するのを防ぐことができます。

【理由3】構造がシンプルで揺れに対して歪みにくいから

建物の「形」も耐震性に影響を与えます。一般的に凹凸の少ないシンプルな形状の建物ほど、地震の力に対して強く、歪みにくいとされています。

平屋は、建物構造がシンプルで、かつ正方形や長方形といった整形のプランで設計されるのが基本です。凹凸の少ないシンプルな箱型の形状は、地震の力を建物全体で均等に受け流すことができるため、地震による倒壊リスクを抑えられます。

一方、ロの字型やコの字型など複雑な形状の建物は、地震の力が角などの特定の部分に集中しやすく、そこから損傷が始まる可能性があります。平屋でも、複雑な形状のプランを採用する場合は、揺れのエネルギーが1点に集中しないようにしたり、大きな力にも耐えられる構造にしたりするなど、一定の配慮が必要になるでしょう。

【理由4】壁(耐力壁)の配置バランスがよくねじれにくいから

地震の力から建物を守るうえで重要な役割を果たすのが「耐力壁」です。これは、地震や風などの水平方向の力に抵抗するために設けられる壁のこと。耐力壁をどこにどれだけ配置するかが、建物の耐震性を大きく左右します。

上階がない平屋では、耐力壁の配置計画における制約が少なくなります。建物を支える耐力壁を、上下階の影響を考慮せず、バランスよく配置できるのも平屋のポイントです。

耐力壁の配置を考えるにあたって、特に大切なのが、建物の「ねじれ(偏心)」を防ぐこと。重心と剛心(強さの中心)の位置がずれていると、地震時に建物がねじれるような動きをし、損傷を受けやすくなります。平屋は壁配置の自由度が高いため、ねじれを防ぐ設計を実現しやすいのです。

平屋を建てる前に知っておきたい耐震性の基本知識

日本の家づくりにおいて、「耐震性」を理解するうえで欠かせないのが「耐震基準」「耐震等級」です。これらは建物の安全性を確保するための重要な指標となります。それぞれの内容を詳しく解説しましょう。

耐震基準とは?建物の安全性を支える最低ライン

建物を建てる際に必ず守らなければならない、耐震性に関する決まりが「耐震基準」です。耐震基準は建築基準法で定められた、建物が最低限満たすべきとされる耐震性能の規定です。

耐震基準は過去の大地震の教訓を踏まえ、何度も改正されてきました。特に重要なのが、1981年の改正(新耐震基準)と、木造住宅における2000年の改正(2000年基準)です。

新耐震基準では、震度6強〜7程度の大地震でも、建物が倒壊・崩壊しない強度が求められます。また、数十年に一度程度発生する中規模の地震(震度5強程度)に対しては、建物がほとんど損傷しないレベルの強度が必要です。

加えて、2000年基準では木造住宅の耐震性を高めるため、以下の項目で強化が図られています。

・耐力壁のバランスに関する規定
・柱、梁、壁の接合部に用いる金物に関する規定
・床の強度に関する規定
・地盤調査の実質義務化、地盤の強さに応じた基礎構造に関する規定

現行の耐震基準を満たしていれば、最低限の耐震性は確保されているといえます。

耐震等級とは?

耐震基準が「最低限のライン」を示すのに対し、より高い耐震性能を分かりやすく示す指標が「耐震等級」です。これは、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく住宅性能表示制度の評価項目の一つで、地震に対する建物強度の指標となっています。

耐震等級は以下の3段階で評価されます。

等級が高いほど、より大きな地震に耐えられることを意味します。等級1で耐震基準は満たしますが、さらに安全性を重視するのであれば、高い等級の家づくりを検討しましょう。

平屋と2階建て|耐震性の違いを比較

平屋が地震に強い理由を見てきましたが、一般的な2階建て住宅と比べた場合、耐震性にはどのような違いがあるのでしょうか。構造的な観点と過去の地震被害データから、その違いを比較してみましょう。「どちらがよい/悪い」ではなく、それぞれの特性を知ることが大切です。

構造的な観点から見る平屋と2階建ての耐震性の違い

平屋と2階建ての構造的な違いとして大きいのが、上階があるかないかという点です。2階建ては上階があるため、平屋よりも建物の重量が重くなりやすく、重心は高くなります。前述のとおり、重量や重心の高さは慣性力の強さと伝わりやすさに影響するため、2階建てのほうが、耐震面では不利になる可能性があります。

また、2階建ては1階と2階で間取りが異なることが多く、上下階の柱や壁の位置がそろわないケースも少なくありません。構造的にも複雑になりやすく、耐力壁のねじれなどにより耐震性が低下する場合もあります。特に、1階に大きなリビングや開口部を設けるなど、壁量が少ないプランを採用する際は注意が必要です。

もちろん適切な設計と施工を行えば、2階建てでも十分な耐震性を確保することができます。ただ、結果的に、平屋よりも徹底した地震対策が求められるといえるでしょう。

クレバリーホームでは、1階と2階を構造的に一体化する通し柱を、グリッドごとにバランスよく配置する「ストロング・ポスト・グリッド(SPG)構造」を採用しています。これにより、自由設計でありながら、2階建てでも高い耐震性を実現可能です。

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過去の地震被害から学ぶ|平屋と2階建ての倒壊リスクの違い

過去の大地震における被害調査は、建物の耐震性について貴重な教訓を与えてくれます。例えば、阪神・淡路大震災後の調査結果により、平屋と2階建て以上では「層破壊」の起きやすさに大きな差があることが分かっています。

「層破壊」とは、地震の強い揺れによって特定の階(特に1階部分)が集中的に破壊される現象です。2階建て以上の場合、1階が押しつぶされて大きな被害につながりやすいことが報告されています。上階の重さが1階部分に加わるため、このような被害が起こりやすいと考えられているのです。

一方で、平屋はその心配がないため、層破壊による倒壊のリスクは構造上低いといえます。

出典:堀江啓・沖村孝・鳥居宣之・田中聡・牧紀男・林春男「木造建物を対象とした層破壊被害関数の適用性に関する考察」, 土木学会地震工学論文集 ,  2003年6月30日

平屋の注文住宅の耐震性をさらに高めるためのポイント

構造的に地震に強いとされる平屋ですが、さらに耐震性を高めるには、どのような方法が考えられるのでしょうか。平屋の注文住宅の安心性を高めるため、こだわりたいポイントを4つ紹介します。

地盤が強く揺れにくい土地を選定する

どれだけ頑丈な建物を建てても、その下の地盤が弱ければ、地震時に大きな被害を受ける可能性があります。地震に強い住まいにするには、土地の地盤強度への意識も忘れてはいけません。

家を建てる前には地盤調査を行い、その土地の地盤の強さを正確に把握することが重要です。調査の結果、地盤が弱いと判断された場合は、地盤改良工事が必要になることもあります。

地盤改良工事には費用がかかるため、少しでも費用を節約したいなら、土地探しの段階で地盤の強いエリアを選ぶことも大切です。自治体の発行するハザードマップなどで、液状化や土砂災害のリスクを確認しておきましょう。

耐震等級3を満たす家づくりをする

現行制度で最高レベルである耐震等級3の取得は、大地震への備えとして大きな安心感をもたらします。前述のとおり、耐震等級3は耐震基準の1.5倍の地震力に耐えられる強度であり、消防署や警察署など、災害時の拠点となる重要な建物に求められる高い基準です。

耐震等級3取得のメリットはこれだけではありません。地震保険料が割引(耐震等級割引)されるなどの経済的なメリットもあります。耐震性に関しては、長期優良住宅の認定基準も満たすため、資産価値の維持にもつながるでしょう。

将来想定される南海トラフ大地震により、淡路島全域で震度6弱以上の大きな揺れが見込まれています。こうした状況を踏まえると、淡路島で家を建てる場合、耐震性の確保は喫緊の課題です。家族の命を守るためにも、耐震等級3の家づくりを検討する価値は十分にあります。

クレバリーホームでは、1995年の阪神・淡路大震災の地震波を基にした、実物大振動実験を実施しました。実物大の住宅モデルに阪神・淡路大震災と同等レベルの揺れ、1.5倍の揺れ、2倍の揺れを各2回ずつ加えたところ、構造部や外壁タイルなどの損傷は認められませんでした。

大地震に備えつつ、快適な暮らしを実現したいなら、クレバリーホーム淡路店へぜひご相談ください。

耐震性に配慮した間取りや設計を採用する

建物の耐震性は間取りや設計によっても左右されます。いくら耐震等級の高い仕様を目指しても、間取りや設計に無理があれば、その性能を十分に発揮できない可能性があります。

特に重要なのが耐力壁のバランスです。建物の四隅や全体にバランスよく耐力壁を配置することが、ねじれを防ぎ、安定性を高めるうえで重要になります。

平屋においても、耐力壁の配置バランスを考慮した、安定性の高い間取り計画を心がけましょう。大きな吹き抜けや開口部を採用したプランにする際は、壁量を十分に確保したり、梁を太くしたりするなどの補強が必要になる場合があります。

長く暮らせる住まいを実現するには、デザイン性と耐震性の両立を図ることが大切です。

耐震性の高い家づくりを得意とする施工会社を選ぶ

耐震性の高い家づくりには、地震に強い設計と、その設計を形にする高い技術力が必要です。両者をかなえるためには、実績豊富で信頼できる施工会社を選ぶようにしましょう。

施工会社を選ぶ際は、耐震性の高い住宅の建築実績が豊富かどうかを確認しましょう。特に耐震等級3や長期優良住宅の認定を受けた家を多く手がけている会社は、高い技術力と知識を有している可能性が高いと考えられます。

耐震性以外にもある!家族が快適に暮らせる平屋の魅力

ここまで平屋の耐震性について詳しく見てきましたが、平屋の魅力はそれだけではありません。ここでは、代表的な3つの魅力を紹介します。

ワンフロアで動線が完結すること

平屋の最大の魅力は、生活空間がすべてワンフロアにあることです。階段がなく、動線が水平移動のみで完結するため、日々の暮らしが快適になります。例えば、洗濯物を「干す・取り込む・たたむ・しまう」といった一連の作業も、上下階の移動がないだけで格段に楽になります。

また、段差のないフラットな空間は、小さな子どもからお年寄りまで、誰もが安全に暮らしやすい環境です。バリアフリー設計にしやすいので、老後の暮らしを見据えた家づくりにも適しています。

家族とのコミュニケーションが取りやすいこと

平屋は、家族の存在を身近に感じられる住まいです。家族がワンフロアで暮らしているので、自然と顔を合わす機会が増えます。別々の部屋にいても、なんとなくお互いの気配を感じられるでしょう。

特に子育て世代にとっては、子どもの様子に目が届きやすいという安心感があります。リビング中心の間取りにすれば、家族同士のコミュニケーションが取りやすくなります。家族のつながりを大切にしたい方にとっては、平屋は理想的な住まいの形かもしれません。

メンテナンスの負担が小さいこと

家は建てて終わりではありません。長く快適に暮らすためには、適切なメンテナンスが求められます。平屋は、そのメンテナンスのしやすさも魅力の一つです。

例えば、外壁塗装や屋根の修理を行う際、2階建て以上の建物では、大がかりな足場が必要になります。一方、高さの低い平屋なら足場が不要、もしくは簡易的な足場で済むケースが多く、費用や手間を抑えられます。外壁面積が小さいので、外壁塗装にかかる費用を抑えやすいというのもメリットです。

淡路島で地震に強い平屋の家を建てるならクレバリーホーム淡路店へ!

平屋は構造的に地震に強く、ポイントを押さえることでさらに高い耐震性を実現できます。また、生活がワンフロアで完結する利便性家族とのつながりやすさなど、暮らしの面でも多くの魅力を持っています。

淡路島では、将来南海トラフ大地震による被害が想定されていることから、地震に強い家づくりの重要性は高いといえるでしょう。長く安心して暮らせる住まいをかなえるには、平屋が有効な選択肢になります。

耐震性に優れた平屋の注文住宅を建てたいと考えているなら、クレバリーホーム淡路店へぜひご相談ください。耐震性に優れた構造と、自由設計による理想の間取りを両立し、理想の家づくりを全力でサポートします。

淡路島の地域特性も踏まえ、最適な家づくりをご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。

▼お問合せ・来場予約はこちら▼
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